表参道スパイラルのアンリアレイジ

 前回、2023年4月に表参道へやって来た時には、スパイラルに展示されていた小倉織(こくらおり)を紹介しました。そして、約2か月半ぶりの表参道です。そして、今回もスパイラルで足を止めていました。

 前回は日本のファッションブランド「アンリアレイジ」(ANREALAGE)の名前を見て小倉織の「小倉縞縞(KOKURA SHIMA SHIMA)」コーナーに気がつきました。今回はそのアンリアレイジのブランド20周年を記念する展覧会でした。

 1階奥のスパイラルガーデンは入り口全体に暗幕が張られていました。やってきた人は、まずそこへ入ろうとしますが、係の人に手前階段側の展示を見るよう促されます。

 階段を上った中2階の高さの広場には、アンリアレイジ発祥の頃の作品から引き継がれるパッチワークのドレスが展示されていました。2023年春夏の「A&Z」のコレクションのようです。そして、壁側にはこれまでの作品の写真一覧がポスターのようになって貼り付けられていました。1990年代初頭からの年代が書かれていましたので、おそらく、ブランド設立以降のコレクション作品がほぼすべてが載っているのではないかと想像できます。

 入り口に戻ると、係りの人は今度は入れてくれました。主催者が考えていた導線は、まずアンリアレイジの歴史を振り返ってもらうということのようでした。

 暗幕の中に入ると長い廊下に沿って一直線に椅子が置かれています。座ると目の前のガラスの向こう側に作品が展示されており、ガラスに投影されるイメージ映像は奥の作品を紹介していました。一直線に並んでいる椅子にすわると、ランウェイを歩くアニメのモデルを下から見上げる角度になり、ファッションショー会場の中にいるような感覚になります。後で確認したところ2021年春夏から2022ー23年秋冬までデジタル配信で行われた4シーズンの作品ということでした。

その暗幕の中を進んで外にでると……

 約20着の作品が円形に並べられ、反時計回りに1着ずつ動いていきます。

 そして、目の前に止った作品に2台のロボットアームがドレスを上から下へなぞるように動きます。
ロボットアームと言えば、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)が白いドレスのモデルを登場させ、産業用のロボットアーム2台でその白いドレスに向けてインクを吹き付ける奇抜な演出をしたことを思い出します。確か1999年春夏シーズンのことではなかったかと思います(違っていたら、すいません)。ここではロボットアームはドレスに向けてインクではなく紫外線を投射しています。

 紫外線を投射した跡にはドレスに色が浮かび上がり模様が現れます。

 ドレスは1着ずつ動いていきます。半周もしないうちに色は消えていきます。そして、もう半周して再びロボットアームの前に出てくると再び紫外線が投射され、模様が現れます。アンリアレイジのウェブサイトによると「フォトクロミック技術を活用した大胆な色相変化で表層の奥を露わにする”=(イコール)”」というコレクションということでした。
 係の人は

「光の強さによっても色が残る時間が変わります。室内で着た時には無地でも、屋外に出ると模様が現れ、それも太陽の方向にしか色が出てこないので、動くと模様の位置が変わってきます」

とこの作品の面白さを説明してくれました。そして、

「例えば展示販売しているTシャツの胸のところに同じ素材でマークを縫い込んでおり、屋外にでると色が現れますよ」

とも話してくれました。
 ちなみにここに飾ってあったのは今年2023年2月にデジタルではなくリアルに現地で実施された 2023秋冬パリコレクション で紹介された作品とのことでした。


 残念ながら、この展覧会は今日7月2日が最終日でした。本当にこの2か月半、表参道へ来る機会がありませんでした。もっと早く気がついていれば、こういったものは何度見ても面白いので、あと何回かはスパイラルに来ていたのに……。 (紹介が遅くなって申し訳ありません)

(2023年7月2日日曜日、展覧会に気がついた当日に)

https://www.anrealage.com/news/12