フェルメールと17世紀オランダ絵画展 東京都美術館

 東京都美術館では当初、2022年1月22日に始まる予定だった フェルメールと17世紀オランダ絵画展 が新型コロナウイルス感染拡大の影響で開始日を決められない状況になりましたが、ようやく2月10日にスタートできました。ドイツの東部、チェコとの国境近くザクセン州ドレスデンにあるドレスデン国立古典絵画館に所蔵されているオランダの絵画が中心になっています。

 

 

 一番の題材はヨハネス・フェルメール”窓辺で手紙を読む女” です。部屋の壁には何も無かったように描かれていたのがX線調査で元々の絵がニスで上塗りされており、そこにはキューピッドの画中画があったことが発見されたのです。画中画はフェルメールが他の絵で使っていた手法でした。わかった当初はフェルメール自身が塗りつぶしたと考えられていましたが、詳しい調査の結果、表面の上塗りと元々の絵の間にほ汚れの層もあり、その厚みなどからフェルメールの死後に上塗りされたこともわかりました。時間をかけて検討され上塗りを除去し、2021年9月には修復が完成したこの絵画がドレスデン国立古典絵画館で一般公開されました。その後、早くも2022年2月に東京都美術館で展示が始まりました。修復が終わったこの絵が所蔵館以外で公開されるのは日本が初めてということです。東京都美術館では1階展示室の半分以上を使い、「《窓辺で手紙を読む女》の調査と修復」を展示。修復前の複製画も比較できるように並べられています。下地に画中画があることがわかってから除去作業を決定するまでの経緯や除去作業の様子を映した動画も紹介されています。

 そのほかにドレスデン国立古典絵画館が所蔵しているオランダの肖像画、静物画、風景画なども鑑賞できます。入場券は日時指定となっており一度に入ることができる人数が制限されていますが、そのためか入口では係の人が観客を次々に入れています。また、複製版画のコーナーでは絵のサイズが小さく、近くで見ようとする人たちが集まってしまい、接近して並んでいる場面もありました。このような状況ですので、自分自身で気をつけて行動した方が良さそうです。

(2022年2月14日取材)

 

※フェルメールと17世紀オランダ絵画展のドイツ語訳は次のようになっています。

Johannes Vermeer and the Masters of the Golden Age of Dutch Painting
from the collection of the Gemäldegalerie Alte Meister, Staatliche Kunstsammlungen Dresden